味噌の魅力

味噌の有効性について研究された、 広島大学名誉教授、理学博士・医学博士 渡辺敦光氏への取材協力のもと、味噌の魅力ついてご紹介させていただきます。
味噌は日本人の宝物

味噌は古くから体に良いとされ、親しまれてきた健康食です。

味噌は古くから体に良いとされ、親しまれてきた健康食です。3世紀末に書かれた『魏志倭人伝』の中に、「倭人(古代日本人)はたいへん長生きで、百歳、あるいは八、九十歳まで生きる」とあります。更に432年に出た『後漢書倭伝』には「菜茹」記載がありこれが「みそ汁」のルーツがといっても良いと永山久夫氏は考えています。大豆は縄文式遺跡から出土していますので、大昔から大豆は食べられていたと考えられます。そのままでは食べづらいことから古い時代から味噌のようなものはあったと考えます。
中国の紀元前11世紀頃の古書『周礼』に味噌の起源と考えられていた「醤(じゃん)」が記載され、紀元前6世紀の孔子の『論語』にも出てきており、「醤」は飛鳥時代末期にはすでに中国大陸から伝来していたようです。701年作られた大宝律令に「未醤(みしょう)」という文字が登場し、これが味噌についての初めての公式記録です。
その後934年頃にでた倭名類聚抄に味噌の文字が始めて使われています。
味噌は日本人の体質に合い、健康に良く、おまけに美味しいものであったからこそ、1300年を経た今でも生き残って来たと考えています。
味噌は古くから体に良いとされ、親しまれてきた健康食です。

味噌は栄養価が高く、優れた食品。

16世紀に来日した宣教師らは日本人は肉を食べないのに、どうして元気なのか不思議がっていました。戦国武士たちのスタミナの持続力には味噌が関与しています。豊臣秀吉が賤ケ岳(しずがたけ)の合戦で、柴田勝家と戦ったときには、秀吉軍は50kmの道のりをわずか5時間で走り抜けているのです。更に彼は本能寺の変の時、高松から京都まで約200kmをわずか5日間で走りました。このように速く、しかも長時間走れるその言われの一つが「みそおにぎり」と久山氏は述べています。道々に大釜を据えてご飯を炊き、おにぎりを作り、みそを塗って走行中の武士に手渡します。武士も足軽も、やりや鉄砲を担ぎ、走りながら頬張りこのように早く走ることが出来たそうです。伊達政宗は御塩噌蔵を作り(仙台味噌)、上杉謙信は道の横に大豆を作り味噌(信州味噌)を作りました。武将にとって味噌は必需品だったようです。

味噌は栄養価が高く、優れた食品。

 

味噌の成分と効用

味噌には実にたくさんの栄養素が含まれています。
もしこれらの栄養素がすべて有効に働いているとしたら健康への良い影響が期待できることになります。特に熟成度が進むと味噌の力は増し、発酵によりタンパク質がアミノ酸まで分解されることで、大豆アレルギーを減少させたり、遺伝子組み換えの影響が少なくなるばかりか、旨味も増加します。
こうしたことの裏付けは今後の研究を俟つ必要もありますが、少なくとも現在、ガンなどの重要な疾患についてポジティブな効果を期待できることがわかっています。
タンパク質(ペプチド、アミノ酸)
コレステロールの低下、血管の弾力性保持、脳卒中防止、高血圧の防止
サポニン
過酸化脂質生成防止、血中コレステロール等の低下、
動脈硬化の防止、肝障害防止
レシチン
コレステロールの低下、動脈硬化の予防、認知症予防
イソフラボン
酸化防止、肩こりの解消、抗変異原性、乳がん予防
ビタミンE
過酸化脂質の生成防止、老化防止
物繊維
コレステロール低下、 大腸がん予防
メラノイジン
過酸化脂質生成防止、老化防止
遊離リノール酸
シミ・そばかすの予防
コリン
脂肪肝の防止、老化防止
トリプシインヒビター
抗がん作用、糖尿病の防止

味噌の「チカラ」 ~期待される効能~

味噌の効能に関する科学的な研究が始まったのは最近の事です。
外国の研究者が「日本人は沢山塩分を摂るのにどうして長生きなの」という疑問を投げかけています。更に日本人は塩分の摂取量が一番多いのに、血圧はアメリカ、イギリス、中国と比べると一番低いことも報告されています。味噌の中の塩分はNaCl(食卓塩)と異なるのではないかと考えています。発酵が短いと効能はあまりありませんが、発酵が進み熟成した味噌には生理効果が認められます。しかし、5年味噌は効力がすこし落ち、10年味噌には放射線防御作用は全く消失しました。即ち発酵・熟成が進み、塩角の取れた一番元気な味噌には美味しさのみならず一番生理機能が強いようです。もっともっといろいろな効能が味噌にはあると思いますが今後の研究の結果が待たれます。日本の多くの食卓で並ぶご飯と味噌汁の組み合わせが、もっと言うなら玄米と味噌汁が良いとは思いますが、私たちの動物実験では味噌だけでも効果がありますので、味噌が含まれた料理でも、味噌としての効能があると考えています。あぶらげ、天かす、オリーブオイルのように油をみそ汁に加えると味が良くなりますし、昔から狸汁のような四つ足を食べるときは味噌味でしたし、文明開化の時期の牛鍋は味噌で味付けをしていました。味噌汁だけで無く、味噌を使った料理でも味噌としての生理機能があるのではと思います。熟成した味噌は日本人の心、健康の素だと思います。
味噌の効能 (Watanabe 2013)

動物 熟成度
放射線防御作用 あり あり 6~24ヶ月
血圧を上げない はい はい 6ヶ月
脳卒中の抑制 イソフラボン
味噌の結果無
はい 6ヶ月
乳癌の抑制 あり あり
大腸癌の抑制 あり あり 6ヶ月
肺癌の抑制 あり 6ヶ月
肝癌の抑制 あり あり
胃癌の抑制 あり あり 6ヶ月
早期前立腺癌の抑制 あり あり
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